ベンチャー企業分析
中古マンションで独自の収益モデル確立
住宅を購入すると言えば、新築の戸建やマンションをイメージされる方が多いのではないでしょうか?しかし、今後は中古マンションの購入が増えていくことが、予想されています。昨今、リノベーションも注目され、購入者にとっても抵抗感が減ってきています。
【マンション市場の概要】
新築マンションの着工戸数 約15〜25万戸/年
マンションの累計戸数 約500万戸(2007年時点)
⇒ 中古マンション市場も十分な規模になりつつあります。
この中古マンションの流通市場は成長が期待される反面、未整備な点が多々あります。個人間売買が中心であるため物件の情報開示は不十分ですし、物件に瑕疵が合った場合の保証の仕方などが整備されていません。そのような市場にあって、流通構造の課題を解決する形で、事業展開を行って成功しているのが、スターマイカです。
スターマイカは、賃貸中の人がいる中古マンションの所有権を1部屋単位で購入して、賃貸人が部屋を出たら売却するという事業を行っています。
【概要】
売上 140億円
営業利益 16億円
時価総額 70億円
設立 2001年5月
上場 2006年10月 ※ヘラクレス
保有中古マンション数 約1000室(平均保有期間は1年)
スターマイカは、次のような特徴のある方法や仕組みを作ることで、流通構造の課題を解決しています。
1.価格の安定した物件を購入(低リスクの仕入れ)
‐対象:価格が安定している築10年以上、かつ都市部のファミリー向けマンション
※価格変動の大きな投資目的のマンションや高額マンションは扱わない
‐リスク分散:エリア・築年数の異なる物件を分散して保有
‐査定:取引事例DBと独自の算定方法によって迅速かつ精緻な査定
2.売却側に売りやすい方法を提供(顧客へ提供する価値)
‐取り扱い単位:1戸単位
‐タイミング:賃貸中から物件売却を確定可能
※スターマイカは、賃貸人が退去するまで物件を売却できないが、
賃貸期間は賃貸収入が入るので、収益を生まない在庫とはならない。
【収益に貢献するマンション賃貸からの利益】
マンション賃貸 : 売上 15億円 売上総利益 11億円
マンション売却 : 売上 105億円 売上総利益 12億円
⇒ マンション賃貸だけで、販管費10億円を賄うだけの規模がある。
3.市場間の価格差に注目(収益源)
‐購入:物件価格が低い賃貸市場
‐売却:物件価格が高い分譲市場
⇒通常は最初から分譲物件となっている物件を購入して売却しますが、
賃貸市場にある物件を購入することで、市場間の価格差(2〜3割の
価格差あり)を収益化しています。
4.独自のオペレーション体制(1200の煩雑で細かい作業の仕組み化)
‐取得:情報ルートの構築、取引事例DBを活用した査定、効率的な契約決済システム
‐保有:物件管理のアウトソース化
‐売却:リフォームの大量発注によるコストダウン、売却ルートの構築
⇒煩雑な作業の仕組み化を実現することで競争力を発揮
スターマイカは、流通構造の未整備な分野に、新しい仕組みを持ち込むことで成功したモデルと言えます。新規事業を検討するにあたって、流通構造が未整備という点に着目すれば、他の中古品流通業界で同様の発想が活用できないかを考えるのも面白いかもしれません。また、収益モデルに着目すれば、市場間の価格差から発想をするという方法もあります。事業発想の示唆に富む企業ですので、是非注目して頂きたい1社です。

西田耕太郎


