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趣味領域ニッチメディアの新たな可能性(後編)

( ※前編はこちら⇒ http://www.m-out.jp/trend/2009/08/post_33.html )
 
■ターゲットのニーズをよく知ること(自分自身がターゲットならベスト)

マクロデータからの分析や外野からのヒアリングだけでは、ユーザが潜在的に欲しているサービスを思いつくことは非常に困難です。どうしても表面的なニーズを知るにとどまってしまいがちです。特に、趣味・嗜好性が高い領域においては、その傾向は顕著なのではないかと思えます。
やはり一番の近道は、社長や従業員自身がそのサービスの一番のファンになれる、その領域がすごく好きだということなのではないでしょうか。
ダーツライブの場合は、創業社長が「ダーツにはまっている時に思いついたサービス」ということからもこのようなことが言えると思います。

ダーツライブのサービスをニーズの裏返しである、と捉えるとダーツのユーザは以下のようなニーズが強いと推測されます。

 ・上手くなりたい
 ・他の人と競いたい
 ・自分のプレイ記録を保存・後で閲覧したい
 ・同じ趣味・嗜好性を持つ友達を作りたい
 ・その分野の情報を知りたい(業界情報・プロの格言など)
 ・上手くなってプロになりたい

どうでしょうか?
こうやって見てみると、殆どの趣味領域で同じようなニーズがあるように思えます。
ただし、その領域ごとにユーザの行動パターン、消費行動、活動回数、消費金額などは本当に様々ですから、ニーズが似ているといっても、サービス設計にはその実態に合うようなものを用意する必要があるでしょう。


■ビジネス化に向けて押えるべきポイント

会員の集客・囲い込み / 収益化 この2つをバランスよく設計できるか?

「特定の趣味・嗜好性を持ったユーザのニーズに応える」これはもちろん大事なことですが、それをビジネスとして成り立たせ、事業として成長させるためにはさらなるハードルがあるように思えます。

特にビジネスの中核にWebやモバイルを置く場合と限定すると、会員の集客・囲い込み、そしてその後に続くキャッシュポイントをどのように設計するのか、そのバランス感が一番重要なポイントなのではないでしょうか。

≪会員の集客・囲い込み≫
まずは、「会員の集客・囲い込み」に焦点を絞って考えてみたいと思います。
ダーツライブに限らず、会員(ユーザ)を上手く囲っている事例を見てみると会員になる強い引き、そして高頻度にアクセスする必然性の両方が共存できているように思えます。

いくつか事例を挙げてみましょう。

 [ダーツライブ:ダーツ]
 引き:ダーツのプレイ記録が自動更新されるという新しさ
 高頻度:ダーツをプレイするたびに必然的にアクセスする仕掛け

 [モバゲータウン:携帯ゲーム]
 引き:ゲームが全部無料
 高頻度:新しいゲームがどんどん追加されるため飽きない

 [クックパッド:料理レシピ]
 引き:圧倒的なレシピ数
 高頻度:料理は毎日作るもの

 [ザッパラス:占い]
 引き:圧倒的な占いの種類
 高頻度:占いは毎日チェックするコンテンツ

会員化した後、ユーザが高頻度にアクセスすることで、ユーザにとってのそのサービスの位置付けは大きくなりますから、口コミ効果も期待できますし、総PV数の向上により広告媒体としての価値も上がります。
また、物や情報の販売をからめる場合、販売単価はユーザがアクセスしている時間の長さに比例するということがありますから、この点でも有効な囲い込みであると言えます。


≪収益化のパターン≫
では次に、収益化のパターンを考えてみましょう。
ありとあらゆるWeb・モバイルサービスが乱立する今、ただ単にPV数を営業ツールにして企業に広告を販売するだけ、というモデルはなかなか成り立ちにくいというのが現実です。実際、この不況下でWebメディアや出版社の廃刊倒産が目立ちます。

それでは、会員向けWeb・モバイルサービスにおける企業広告以外のキャッシュポイントにはどのようなものが考えられるでしょうか。

A:関連グッズ販売(物 / 情報コンテンツ)
  A-1:アフィリエイト、ドロップシッピング
  A-2:自社で在庫を持つ
  A-3:自社ブランド:コンセプトセレクトショップ
  A-4:自社ブランド:自社商品開発
B:情報コンテンツに対する会費収入
C:Webツール提供に対する会費収入
D:マーケティング支援


細かく区分けすれば、いろいろなパターンがあるとは思いますが、大きく分けるとこれくらいに分かれると思われます。
この中のいくつかについて、特徴的な事例を挙げてみたいと思います。

 A-1:アフィリエイト、ドロップシッピング
 一休.com

 一休.comは株式会社一休が運営する高級ホテル・旅館に特化した宿泊予約サイトです。
 施設側からの手数料収入によって成り立っています。完全成功報酬型で、施設は宿泊利用料金の8%を一休側に支払っていま
 す。空き室情報は無形の情報ですので、一休側で在庫を持つことはありませんし、店舗も必要ないので、低リスク・低コストでの
 運営が可能になります。
 そして取り扱う部屋が増えても、仕入れや管理にかかる費用はほぼ変わらないため、売上が上がれば上がるほど、利益率も
 ほぼ自動的に上昇する仕組みになっているのです。


 A-3:自社ブランド:コンセプトセレクトショップ
 ZOZORESORT - ZOZOGOLF など

 ZOZORESORTとは株式会社スタートトゥデイが運営する高感度を切り口にした総合ファッションサイトです。
 125万人以上いる会員のうち、50%近くがアクティブな会員です。(2009年3月末)ファッションへの感度の高い会員を囲い込む
 ことで、収益に結びつけています。 
 ひとつの商品でもWebという特性をいかしてカテゴリ(Tシャツ、スカート等)・価格・ブランド・色・性別・テーマ(例えばZOZOGOLF)
 などさまざまな見せ方をすることで、顧客接点を増やして購入機会を増やす工夫や、ターゲット(20〜30代のファッションに高感
 度な層)を絞ることで、より深くターゲットのニーズに応える品揃えを行っています。


 D:マーケティング支援
 クックパッド

 クックパッドは株式会社クックパッドが運営するレシピの検索・投稿サイトで売上の半分以上がマーケティング支援事業で、占め
 られています。単なる広告ではなく、サイトと連動した広告(タイアップ広告)を掲載することにより、商品認知度や利用方法の浸
 透を図ります。
 クックパッド上で顧客企業の商品を使ったレシピ投稿を募るレシピコンテスト、顧客企業自らがクックパッド上でレシピを提案する
 場を設けるスポンサードキッチンの2つが挙げられます。

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阿野武士