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趣味領域ニッチメディアの新たな可能性(前編)

趣味領域ニッチメディアの新たな可能性(前編)

■これまでの趣味領域メディアビジネス

特定の趣味・嗜好性を持つ人たちをターゲットとする専門メディアは、紙媒体/Web媒体でそれぞれ多々ありますが、その多くはどの媒体も似たようなビジネスを展開しています。

≪専門メディアのビジネス展開≫
 ・その属性の人たちにリーチしたい企業に広告を販売する
 ・情報コンテンツ(雑誌を含む)を販売する
 ・関連イベントを企画・運営する
 ・関連グッズを販売する

しかし、特定の趣味領域の人たちのニーズを深く掘り下げ、そのニーズに応える工夫を徹底的に施すことで、これまでのメディアビジネスの枠に捉われない新たな可能性を見出すことができるのではないでしょうか。


■もはやメディアの枠を超えて・・・ニッチメディアの進化系

株式会社ダーツライブという企業をご存知でしょうか。
社名にもあるように、ダーツに関するサービスを提供している企業で、セガの子会社として2003年に設立されました。

ダーツを趣味とする人たちに向けて、フリーマガジンやメールマガジンを発行したり、東京ビックサイトでダーツイベントを開催、はたまたダーツ動画番組を独自制作・配信したりしている会社です。

しかし実は、本業は別のところにあります。

ダーツライブは、全国のダーツバー、ビリヤード場などの娯楽施設にダーツライブマシンと呼ばれる、ダーツの機械を提供しています。この機械はネットワークにつながっているのが特徴です。

ダーツを楽しむ人は、その機械が設置してあるお店でユーザ登録を行います。
すると会員カードが発行され、プレイする時にそのカードを機械に差し込むことで、プレイ記録がダーツライブの管理するサーバに自動的に保存されるという仕組みになっています。

ユーザはそのサーバ上のデータを携帯電話などで確認できるようになっているので、自分の記録を管理したり、全国順位を把握することができます。
登録時、会員情報としていくつかの情報を入力するのですが、その1つであるニックネームは、プレイ時に機械のディスプレイ上に表示されるようになっています。お店で初めて出会ったプレイヤー同士でも、そのニックネームを呼び合うことで気軽に打ち解け仲間になれるという効果もあるようです。また、携帯のコミュニティーサイト内で、もう一度、あの時出会った人と勝負したいと思ったら、サイト内で誘い合ったりできるコミュニティー機能も用意されています。

このサービスは月300円の有料サービスとなっているにも関わらず、登録会員は20万人を突破しており、ダーツライブを導入している店舗は2500店、普及台数は6800台を超えているとのこと(2008年11月時点)。

有料会員の月会費だけでも、ざっと計算して
300円 × 20万人 × 12ヶ月 = 7億2千万円
となります。
これに加えて、機器の販売(もしくはリース)も行っており、売上の多くを占めているのではないかと考えられます。

非上場企業なので、詳しいことは不明ですが売上、利益ともに順調に推移しておりその利益率の高さも特徴的です。

≪ダーツライブ業績≫
      決算期   売上(百万円) 利益(百万円)
      2009. 3   4,200   1,300
      2008. 3   3,100   1,200
      2007. 3   2,000   700
      2006. 3   1,080   400
      2005. 3    160   44

ダーツライブは「ダーツ」という領域で、ユーザのニーズを上手く汲み取り、情報提供という枠を超えてそのニーズに応えるサービスを提供することで大きく成長を続けています。
ダーツに関しては、そもそものプレイ人口はそこまで多くありません。そこでダーツライブではダーツ人口そのものを増やすような大規模な普及イベントを行っています。ダーツ業界はもはやダーツライブ抜きでは語れない、それほどの存在になっていると言えるかもしれません。


ダーツライブはなぜ、これほどの成長を遂げたのでしょうか?
そのポイントは大きく2つあると考えられます。


次回は、そのポイント2つを分析し、他領域への可能性を探ってみたいと思います。

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阿野武士