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事業立ち上げのポイント

2大プロスポーツのビジネスモデルに迫る

■少年達があこがれるプロスポーツ業界

今、プロ野球ペナントレースが盛り上がりを見せています。特に、セ・リーグでは本日(2010年9月7日)から阪神首位攻防3連戦。一時は巨人が優勢かと思われましたが、7月、8月と負け越し、自力優勝は数字上消滅。この猛暑の中ぐいぐいと追い上げてきた阪神に、これまた連勝を重ね、すさまじい勢いで追い上げる中日と、熱い戦いが繰り広げられそうです。
 
また、熱い戦いと言えば、ワールドカップも記憶に新しいのではないでしょうか。深夜の放送にも関わらず、平均視聴率50%以上というのはすさまじい記録です。長谷部選手の「Jリーグにも足を運んで盛り上げてください」という言葉は注目を浴び、日本チームのさらなる賞賛へとつながったように思います。
現在、Jリーグはまだまだリーグ中盤。名古屋グランパスが1歩抜きん出ていますが、まだわかりません。12月まで熱い戦いは続いていくでしょう。

Benesse教育研究開発センターが2009年に行った調査によると、男子小・中学生ともに、なりたい職業1位は「プロ野球選手」、そして2位は「サッカー選手」とのこと。
今回のM-Labo Magazineでは、今でも少年達があこがれるこの2大プロスポーツ業界「プロ野球」および「日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)」のビジネスモデルについて前編、後編に分けて触れていきたいと思います。


■プロ野球球団の経営分析

日本のプロ野球はセ・リーグことセントラルリーグと、パ・リーグことパシフィックリーグに分かれており、6球団ずつ、合わせて12球団が存在しています。球団の経営状況は、一部球団を除いて公開されていないので詳しくはわかりませんが、公表されている数年前のデータを見る限りでは厳しい状態の球団が多いようです。参考までに2007年度の各球団売上を以下に記します。

 <球団売上> [2007年度]
         売上(億円)
 読売巨人      210
 中日ドラゴンズ   110
 阪神タイガース   150
 横浜ベイスターズ   60
 広島東洋カープ    50
 ヤクルトスワローズ  60
           売上(億円)
 北海道日本ハム     106
 千葉ロッテ       80
 福岡ソフトバンク    200
 楽天イーグルス     76
 西武ライオンズ     40
 オリックスバファローズ 50


売上内訳は大きく以下の5つに分類することができます。

 1.入場料収入
 2.放映権収入
 3.広告収入
 4.興行関連収入(飲食・グッズ等)
 5.その他(ファンクラブ等)

売上構成比は球団ごとに大きく異なります。
例えば、セ・リーグでは、巨人戦放映による収入が大きく(かつては1試合1億円と言われていたとか)、各球団の売上を底上げしていました。放映権はその試合のホームチームにありますので、1年に10試合程度は巨人以外のチームにも巨人戦による高額な放映権収入があったというわけです。ここで、「あった」と過去形で書いているのはここ数年で大きくその状況も変化してきているからです。

帰宅後、テレビの前で夕食とビール片手に野球観戦なんていう光景は一昔前、近年では視聴率低迷により巨人戦でさえもほとんどテレビ放映されなくなってきています。これまで巨人軍人気に救われていたと言っても過言ではない球団もありましたが、放映権による収入を当てにできなくなってきた今、大きな方向転換が求められていると言えるでしょう。
また、球場運営に関わっているかどうかでも、売上構成は大きく異なります。
例えば、ホーム球場「クリネックススタジアム宮城」の所有者である宮城県より営業権を取得している楽天イーグルスをはじめ、球団が球場運営も行っている場合、興行を行えば球場内飲食店などの売上もすべて球団の売上になりますし、また球場内広告による収入もすべて球団の売上になります。

一方で、読売巨人などホーム球場の運営をまったくの別会社が行っている場合は、球団は球場運営者側に球場使用料を支払い、さらには興行時の球場内の売上は球場側の売上となるため球団の売上にはなりません。また球場内広告に関しても、球場側の売上になります。(契約ごとに異なるようですが)

どちらにしても、入場料収入だけは全て球団の売上になります。放映権による収入が大幅減収となり、かつての近鉄のように親会社の運営も安泰とは言い切れない現代。以前にも増して、大勢の観客を集めてリピート顧客化していくことが各球団には求められています。


■地域密着を目指すJリーグ

日本プロサッカーリーグことJリーグはJ1、J2と2つのリーグに分かれ、それぞれ18クラブ、19クラブの計37クラブで構成されています。各クラブの経営状況はJリーグ公式サイトに公開されており、入場者数、営業利益や純利益、総資産等確認することができます。

Jリーグの売上構成もプロ野球と同じく、入場料収入、放映権収入、広告収入、興行関連収入(飲食・グッズ等)、その他(ファンクラブ等)の5つに分けることができますが、大きく異なる部分があります。それは「Jリーグ配分金」の存在です。

プロ野球の場合、球団と球場所有者の関係によって収益源が異なることは先述した通りですが、サッカーの場合、そこにJリーグが大きく絡んできます。放映権収入やグッズ関連収入一部がJリーグの収入になるのです。Jリーグが一括管理をして、後に各クラブに傾斜をつけて配分しています。これがJリーグ配分金です。

また、クラブ名を見てわかる通り、それぞれ地名が入っています。ここもプロ野球と異なるところです。読売巨人のように全国的人気チームをつくるのではなく、地元自治体の協力を得ながら、「地域密着」をキーワードに地元ファンとともにサッカーリーグを活性化させていくというのがJリーグの目指す姿と言えるでしょう。


次回はプロ野球、Jリーグそれぞれ独自の取り組みでファンを増やしている球団・クラブを取り上げていきます。

エムアウト  高野公美子
   
高野公美子