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起業に役立つ本

フリー<無料>からお金を生み出す新戦略

『フリー<無料>からお金を生み出す新戦略』
著:クリス・アンダーソン

今回ご紹介する本は、既に読まれている方も多くいらっしゃると思いますが、2009年11月発刊の『フリー<無料>からお金を生み出す新戦略』です。著者は、ワイアード誌編集長のクリス・アンダーソン氏で、2004年に「ロングテール」という言葉を世に広めたことでも知られています。

著者によると、フリーに関して「タダほど高いものはない」や「タダの裏には何かがある」と懐疑的に思うか、無料で当たり前と感じるのかどうかは育った環境の違いにより発生し、現社会では30歳を境にして分かれると言います。受け入れるのか、懐疑的になるのかはともかく、現在の我々の生活を改めて見まわしてみると、大なり小なり多くのフリービジネスが存在します。例えば、街角でのサンプリングやショッピングモールの無料駐車場、博物館での子供入場無料など、あげればきりがありません。

さて、そんな同書には、フリービジネスの起源(フルーツゼリーの元であるジェロの販売をレシピ本無料配布によって成功に導いたジェネシー・ピュア・フード社や、ジレット社のカミソリ)から始まり、フリービジネスの因子分解やフリーによる心理学、貨幣経済との比較や与える影響など多岐にわたっています。
また単なる概念だけでなく、コラムとして13業界のフリービジネスを紹介し(もちろん本文中にも多くの事例紹介が含まれています)、いかにしてそれぞれの企業がフリービジネスを成立させているのかを細かく説明してくれているので非常に読後の腹落ち感の強い内容となっています。
もちろん著者もフリーが絶対と述べたいわけではなく、陥りやすい問題点等もきちんと指摘しており、その点では中立性を意識しているように思われます。

起業したい方にとっては、上記のフリービジネスの例でも挙げたとおり、フリーモデルは何もITやインターネットの世界だけの話ではなく、すべての業界に適用できる概念であり、巻末には、フリーを利用した50のビジネスモデルが紹介されているので参考にしてみてはいかがでしょうか。

同書の中で最も印象深かったのが、「ユーザーが当たり前のようにお金を支払っている商品・サービスを無料にしてみる」という言葉です。起業とは「新しい価値観を生み出すこと」と置き換えると、この言葉は決して突飛ではないなと改めて考えさせられました。
何かをやってみたいけれど、その何かがわからないという方は、一度自分自身がいったい何にお金を使っているだろう、それを無料にする方法はないかなという軸で考えてみるのも面白いかもしれませんね。もちろん起業することが目的ではないので、中長期的な発展を自身の手で行っていくために、ビジネスモデル構築だけでなく、人材マネジメントの観点についてもよく考えなければならないことは言わずもがなですが。

【福島成典】