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シンプル族の反乱

シンプル族の反乱
著:三浦 展


最近、10代後半〜30代前半の女性50名程にグループインタビューをする機会があり、大学生、OL、キャリアママまで様々なタイプの女性の、リアルな日常の一片をうかがい知ることができました。  

そこで驚いたのは、オシャレや遊びに夢中であろうとイメージしていた現役女子大生から、学校の帰りにショッピングに行ったり、飲みに行ったりするのはせいぜい月に1、2回ぐらい、といった消費に対して“冷めた”声が多く聞かれたことです。
もちろん同世代の中には、流行のファッションアイテムに、お小遣いや収入の多くをつぎ込み、ブランドものをオークションで売買するような消費にとても積極的なタイプも一定割合(全体の1〜2割程度)いました。

しかし前者のような“消費しない若年層“の存在感が増しているな、という肌感覚を持ったのです。                                                                                          
そんな折、手にしたのがこの本です。
これまで郊外家族の生態や「下流社会」の現状を鋭くとらえてきたマーケッター三浦展氏が、消費一方の暮らしに背を向ける人々を”シンプル族”と名付け、彼らの生き方や嗜好を分析、これからの新しい商品作りやサービスのあり方を示唆しています。

“シンプル族”にあてはまるのは、主に1970年代前半に生まれた団塊ジュニア以下の世代。そして次のような生活への考え方、志向性を持つ人々としています。


<シンプル族の生活原理>

1.モノをあまり消費しない、ためない
 借りたもの、もらったもので済ませることも多い。不要なものを買ったり、捨てたりすることに罪悪感がある。

2.手仕事を重んじる
 既製品を買うだけより、自分で手を加えたい、改造したい、自分が関与したいと思う。
3.基本的な生活を愛する
 暮らしの基本である衣食住をおろそかにしない。大事に物の手入れをする。


<シンプル族の志向性>

1.エコ志向・・・・・・・・・・・エコロジー、環境を重視し、かつエコノミー(経済性)も重視。

2.ナチュラル志向・・・・・・・・自然や自然素材の物が好き。世界遺産に感動する。

3.レトロ志向・和志向・・・・・古いもの(古着、中古家具、古民家、下町・古い町など)、特に和風の物が好き。

4.オムニボア(雑食)志向・・・文化的な雑食志向。様々な国や地域の文化を楽しむ。

5.ソーシャル・キャピタル(社会関係資)志向・・・いろいろな人と出会い、知人、友人を増やし、話し、楽しみ、知識を増やすのが好き。


あなたの周囲にもこんな人がいませんか?あるいはあなた自身に心当たりはありませんか?

自動車産業が不振に喘ぐ一方で、自転車が販売台数を伸ばしている。百貨店が軒並み業績を落としているのを横目に、ユニクロや無印良品が大盛況。こういった現象も、シンプル族の台頭が大きく影響していると筆者は指摘しています。


高度成長期に生まれ育つ中で、今まで手にできなかったモノを一つ一つ所有し、また新しいモデルに買い替えることで生活水準の上昇を実感できた1960年代生まれ以前の世代と、子どもの頃からモノで溢れた環境で育ち、その結果、大量生産されるモノに憧れを持たない1970年代生まれ以降の世代とでは、モノの消費や所有に対する価値観が大きく異なるのは当然のことともいえます。  
                                       このような価値観の潮流を捉えたモノづくりやサービスを提供できなければ、今後企業として生き残ることは難しいでしょう。


これから本格的に日本の消費の中心を担う世代の、主流となりつつある価値観を掴むには有益な一冊です。是非ご一読ください。

【野田花子】