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経済は感情で動く-はじめての行動経済学

経済は感情で動く―はじめての行動経済学
著:モッテルリーニ,マッテオ  訳:泉 典子


私たちはお金を使う、節約する、投資するといった日々の経済的な行動の中で常に”選択”を迫られています。

ランチで訪れた中華料理店で、数あるメニューの中から1つを選択する、欲しかった新機種の携帯電話が、近所では13,000円、500m先まで足を運べば12,000円で買える時、どちらの店で買うかを選択する、投資している株の価格が下がってきたが、そのまま持ち続けるか手放すかを選択する、などなど日常生活は”選択”の連続で成り立っているといっても過言ではありません。


こうした日々の”選択”しなければならない場面において、私達は自分では合理的に最良の判断をしているつもりになっています。
しかし私達の選択は、実は感情や直感によって大きく左右されていることが往々にしてあります。

本書は、”選択”をしなければならないある種の状況下において、多くの人が同様の感情を抱き、同様の認知過程を経て、結果として非合理的な選択<エラー>をしてしまう規則のようなものが存在する、という事実をわかりやすく解き明かしてくれます。

タイトルにもある”行動経済学”は、心理学者ダニエル・カーネマンが2002年に「心理学的研究を経済学に導入した」業績で、ノーベル賞を受賞したことにより、広く世の中に知られることになった学問です。

経済学が需要と供給、インフレとデフレ、雇用、金利などの数理的な原理で動く社会現象を研究するのに対し、行動経済学は実際の人間を中心に据え、人間がどのように選択・行動し、その結果どうなるかの究明を研究目的としています。

本書の著者はイタリア人経済学者で、身近な事例を題材にしたクイズ゙形式で”行動経済学”をナビゲーションしてくれます。


以下の2つの事例、あなたも心当たりがあるのではないでしょうか。

■3つあると真ん中を選ぶ

2つのグループにデジタルカメラを買ってもらう。

Aグループでは選択肢は38,000円と76,000円の同じブランドの2モデル。
結果として2つのモデルを選んだ人の割合に大差はなく、どちらも50%

一方、BグループにはAグループと同じ2つのモデルのほかに、品質も価格も上級クラスの128,000円のモデルを選択肢に加える。結果として真ん中の76,000円モデルを選ぶ人 が大多数となり、Aグループでは50%の人に選ばれた38,000円モデルは20%に減ってしまう。

一般に3つの選択肢がある場合、真ん中が最も好まれる。従って売る立場でいうと4,000円と5,000円の類似商品があり、値が高い5,000円を売りたいと思えば、6,000円の選択肢を加えればよいということになります。


■「1%」と「100人に1人の違い」 〜人は”熱い”数字に引かれる〜

精神に不調をきたした患者の退院について、アメリカの権威ある479人の専門家に意見を訊いた実験。

Aグループには「同様の患者の場合、退院後半年の間に暴力行為を犯す確率が20%」と伝え、
Bグループには「同様な患者の場合、退院後半年の間に100人のうち20人が暴力行為を犯す」と伝える。
結果Aグループでは21%の専門家が退院に反対したのに対し、Bグループでは反対者がほぼ2倍の41%に達した。

確率がパーセンテージ(20%)で表示されると感情にひびきにくいが、具体的な頻度(100人につき20人)で示されると本物の危険な暴漢者が頭の中に浮かび、感情を呼び起こされる。
同じリスクでも表現方法が違うと、沸き起こる感情の強さが違い選択も異なってくる。

同様のメカニズムが日々の買物の場面でも見られます。マグロの缶詰売り場で、「2個分の値段で3個」の表示と、同じ値引きの割合がパーセントで表示されている場合、前者の方が後者より明らかに感情へのインパクトがあり、「ただでもらえる」分がもうポケットに入った気分にされてしまうのです。


事業を立ち上げる、そして事業を成長させるためには、究極のところ提供する商品・サービスの価値がうまく顧客に伝わるか、受け入れられるかどうかにかかっていると言えます。

本書で紹介されている私達の選択や判断に影響を及ぼす様々な認知パターンを知ることは、今あなたが取り組まれているビジネスの顧客の心を掴む、またプレゼンテーションで多くの人の賛同を得るためにどうデータを見せればよいかといった場面にも多いに役立つでしょう。

もちろん商品・サービスの提供者側の販売手法に簡単に惑わされない賢い消費者になるためにも!ぜひご一読ください。